■鉄道廃線の次はバス廃止?!■

2022年10月18日

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前橋市で活動する「前橋市不動産売買専門ナビ 甚不動産相談事務所」です。

■不動産探し(土地など)、住まい探し(一戸建新築&中古)、売却(売る)のお役に立ててください■

 

本日は「郊外を選ぶデメリット」についてご案内いたします。

 

日本の人口減少は改善される見込みがなく、都市部と過疎地の2極分化が進行しています。

過疎地における鉄道の赤字問題がニュースに取り上げられるようになり、経営の成り立たない路線の廃線も相次いでいます。

配線後は代替バスなどの運行が行われているようですが、どうやらその代替バスも赤字のため廃止が余儀なくされているようです。

 

〇【岐路に立つ鉄路】JR廃止でバス転換しても…伸び悩む利用客 さらに代替バスの廃止も 鉄路を失ったマチの不安

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6439583

 

■住宅業界は転換期。これまでの「新築偏重」な雰囲気に惑わされてはいけません。

日本は今まで経験したことがない人口減少社会となっています。

少し前まで「一生で一回の買い物」「終の棲家」という住宅業界の甘言に飲まれて、住宅購入は新築という誤った風潮が一般的でした。

しかし、多くの新築住宅は購入した瞬間から資産価値が下がり続けるので、住宅ローンの返済スピードと資産価値が目減りするスピードが合わず、結果的に売ると借金が残るため、住宅ローンのために無理をし続けなければならないという不自由な人生を選択した方が多くいました。

そもそも住宅購入時に一生で一回の買い物と勝手に決めつけて、売る時のことをあまり考慮しない、良くない買い方が横行したことが原因の一つです。

 

人が増え続ける時代であれば、家を売る時に時間をかけたり、多少値引きをすれば「売れない」という事態を容易に避けることができたのですが、人口減少社会ではそもそも買い手がいないので、売れないものはいくら待っても売れない状態に陥り、結果的に空き家が増え続けることになっています。

 

■ネットや通販があるから大丈夫?

当社は資産価値重視の住宅購入をお勧めしています。

お客様とお話しする中で、郊外の物件を検討される方が良く仰られることに「車があるから大丈夫」というご意見があります。

確かに今は大丈夫でしょう。街によっては車社会で電車をあまり利用しない方も多いと思います。

しかし、昨今高齢ドライバーの事故の報道が多いですね。今の技術では車はある程度の年齢までしか運転できない移動手段です。

自分で運転できなくなったらバスやタクシーがあるから大丈夫と思われるかもしれません。

冒頭にご紹介した記事のように赤字になればバスは廃止されます。労働生産人口が減少している中で、運転手不足も叫ばれています。

車がなければ生活できない家を選んでしまうと、自動運転技術の進歩に祈るしかなくなってしまいます。

 

買い物もネット通販があれば大丈夫と仰られる方が多いです。

今は十分な配送網がありますが、こちらも労働生産人口の減少で、そう遠くない将来に配送の問題が顕在化するという意見が多いです。

 

地域の経済を成立させるには相応の人口が必要です。人口が少ない街は様々な歪を抱えることとなります。

今の常識で判断するのではなく、10年後、20年後はどうなるだろうと、少し広い視野で判断するべき時期だと思います。

 

■土地が安ければ贅沢に家を建てても大丈夫?

都市中心部に寄れば寄るほど不動産価格は上昇し、また、需要が多いため、1戸当たりの面積は小さくなりがちです。

資産価値重視で手狭な都心部か、郊外でゆとりのある生活か。多くの方が悩まれていると思います。

ここで一つ問題があります。都心部の予算感で郊外で家を買ってはいけないということです。

確かに都心部に比べると郊外の方が土地の値段が安いです。ここで予算に余裕があるからと言って必要以上のスペックに費用をかけてしまう贅沢をしてしまうと、贅沢した分資産目減りが激しく、住宅資産として活用できない買い方になってしまいます。

ゆとりを求めて郊外を検討している方はぜひバブル期に建てられた中古の売り物件を見てみてください。

「この築年数でこの値段なんて誰が買うのだろう?」そう思う物件が結構あります。

バブル期は郊外の開発が活発な時期でした。今と同じように都心部の価格がかなり上昇し、その価格に引っ張られる形で、郊外の住宅価格も上がっていました。

バブル期に家を建てた世代も後期高齢期に差し掛かる時期です。

介護などの問題で、高齢者向け施設などの移住費用にするために、自宅を売却しなければならないのですが、当時購入した金額(当時は金利もかなり高かったので総支払額を考慮するとかなり高額でした)を考えると、今の相場での売却価格は正に二束三文。心情的に今の相場観では売却しにくいのです。

 

さて、郊外に相場価値以上の価格を投じた物件を見た後で、改めてこれから買おうとする(もしくは建てようとする)家を考えてみてください。

予算に余裕があるからと言って、必要以上に広い土地にすることも、高級な住宅設備を入れることも、将来のご自身の首を絞める結果になるのではないか?という視点で慎重に検討することをお勧めします。

 

〇〇だから、予算を高くする理由はいくらでも出てきます。

それが本当にご自身の望みであるなら良いのですが、住宅事業者のお勧めに踊らされていることも考えられます。

郊外を選択する時点で将来の不利益をある程度許容することになります。

都市部より安く買えたその余力を、あまり重要でないことに浪費するのは得策とは言えません。

 

■過疎地で起こり得る少し怖い未来予想図

日本の経済はお世辞にも「好景気」とは言えません。人口減少に加え極端な少子高齢社会で、高齢世帯を差さえなければならない分、日本の国力がどんどん削がれています。

国民一人当たりの労働生産性が何倍にも改善されれば違った局面となるのでしょうが、生産性の向上は一朝一夕にはいきません。

結果的に若干の生産性向上は見込めるものの、向こう20年~30年は高齢世帯を支える社会保障費に苦しめられることが容易に想像できます。日本から「余力」が失われつつあるのです。

人口が増えていた時代は、今と違って住宅が不足していたので、都市の中心部から郊外へ街がどんどん広がっていきました。

道路、水道、電気などのインフラも拡大を続け、人口減少時代に突入した今、その維持管理に頭を悩ませることとなっています。

これらインフラは作ってお終いではなく、定期的なメンテナンスや更新が必要なのですが、財源が乏しく、手が付けられなくなりつつあります。

当然ながら限られた予算の中でメンテナンスを実行しなければならないため、すべてのエリアを公平に、ではなく優先順位を付けて取り組まなければなりません。

人が少ない地域のインフラ維持管理費を公平に負担できる余裕はなくなりつつあると言えます。

 

都市部と過疎地の2極分化が問題視されてきました。

これまでは都市部から過疎地へ人口を移動させるべき、という論調だったようですが、これからは「人が住まなくなるエリア」を決めていく必要に迫られています。

インフラの更新問題は、土砂災害で寸断された道路が復旧しない、崩落した橋が再建できない、トンネル災害が発生するなどの形で、そう遠くない将来に顕在化すると思われます。

これらの問題が顕在化してしまうと、影響を受けるエリアの住人は、人が集まるエリアへの移住を余儀なくされるかもしれません。

 

インフラの問題を抜きにしても、人が少ない街からは商業施設が撤退してしまいます。

冒頭の鉄道やバスもそうですが、スーパー、コンビニがなくなり、病院が減ってくると、いよいよ生活に支障が出始めます。

 

安易に郊外・過疎地を選択することは、将来家が売れなくなるだけでなく、都市部の人に比べて不便な生活を強いられる可能性もあるということを認識しておいた方が良いです。

 

■住宅購入は「街選び」。将来に渡って人が集まる街を選ばなくてはなりません。

もはや家は「一生で一回の買い物」ではありません。必要になったら資金化してより自由な人生のために使うことができる資産です。

 

必要になったら売れる家の最低条件は、人が集まる街であることです。

 

慣れ親しんだ街だから、勤務先に近いから、都会よりも田舎が好きだから、など郊外を選択する理由は様々ですが、かつて人口が増えていた時代の常識に捉われることなく、慎重に街選びを行いたいものです。

 

 

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