■売却で各種手当が受けられなくなる?■

2023年09月22日

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前橋市で活動する「前橋市不動産売買専門ナビ 甚不動産相談事務所」です。

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 不動産を売って一時的に収入を得たときは、所得が高くなることで各種手当や控除を受けられなくなることがあります。ご存知でしょうか?児童手当など各種手当のほか、様々な給付金や控除にも影響を及ぼす為、気をつけなければなりません。また、今回は様々な給付金や控除について解説をしたいと思います。

 

■不動産の譲渡所得があった場合の所得制限の考え方について

助成金、補助金、手当などの各種給付金や、所得控除や税額控除などの各種控除を受けられるかどうかの基準のひとつに、「所得制限」があります。所得の範囲には、給与所得や事業所得のほか、不動産の譲渡所得の額も含まれます。しかし、譲渡所得の額を、譲渡所得の特別控除前の額とするか、特別控除後の額とするかは、制度により異なります。それぞれの手当や控除がどちらを対象としているかを見る前に、不動産を売ったときの所得「譲渡所得」とは何かを解説したいと思います。

 

不動産を売ったときに買い主から受け取る「譲渡価額」から「取得費」「譲渡費用」「譲渡所得の特別控除額」を差し引いた額を、課税譲渡所得といいます。

 

譲渡価格―(特別控除額+譲渡費用+取得費)=課税譲渡所得

 

「取得費」は不動産を買ったときに支払った額のことです。「取得費」が不明なときは、売却額の5%相当額を取得費とする概算取得費の特例を適用するか、ほかに合理的と認められる方法で算定した額を取得費としています。「譲渡費用」は、仲介手数料など不動産を売るためにかかった費用のことであり、リフォームをして設備交換等を行って販売する場合にも適用が出来ます。

 

「譲渡所得の特別控除額」は、一定の要件を満たしたときに譲渡益(譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた額)を限度に控除される額で、確定申告をすることで適用されます。例えばマイホームを売却したときの特別控除額は3000万円となります。

 

昨今、不動産価格が上昇している事もあり、安く取得したケースでは売却後の課税譲渡所得が大きくなるケースもありますので、利益が大きくなる場合には、注意が必要です。

 

■不動産の譲渡所得があった場合、各種手当や控除の変化について

以上の考え方を念頭に、本題の各種手当や控除を解説したいと思います。

 

給付型奨学金や扶養控除など各種控除はハードル高まります。

児童手当は、譲渡所得を特別控除後の額(課税譲渡所得)で判断する為、もし課税譲渡所得があるときは、減額や給付除外になる可能性があります。

 

児童手当の所得制限額は、前年末時点の扶養人数により異なる為、例えば、扶養人数が3人の場合、所得(会社員であれば給与所得控除後の額)が736万円超で一律5千円に減額されます。また、所得972万円超で給付除外となる為、不動産の売却益が大きいとこの給付除外となる事が懸念されます。収入目安でいうと給与収入のみなら960万円超で減額、1200万円超で給付除外となる計算となります。児童手当の受給対象となる所得者は、父母のいずれか恒常的に収入の高い方となります。譲渡所得を得た人が収入の低い方なら手当受給に影響はありません。

 

そのほか子どもやひとり親家庭などの医療費の窓口負担を助成する「医療費助成制度」、経済的に就学が困難な児童を持つ家庭を援助する「就学援助」、ひとり親世帯等への「児童扶養手当」なども、譲渡所得を特別控除後の額で判断しますが、所得は世帯で合算するので注意が必要となります。課税譲渡所得があるときは、受給に影響が出る可能性がある事を覚えておいて欲しいです。日本学生支援機構の返済不要の「給付型奨学金」は、譲渡所得の特別控除前の額で判断するため、譲渡益がある年は受給のハードルが高くなります。もし大学前のお子さんがいる世帯は中が必要となります。一方で、「貸与奨学金」は不動産売却等による一時的な所得は計算に入りません。ちなみに、生活に対する給付金等のほとんどは非課税所得と定められているため、所得の範囲に含まれません。しかし、支給根拠となる法令等や所得税法の規定により非課税所得と定められていない給付金は、所得の範囲に含まれるため気をつける必要があります。

 

 

■不動産の譲渡所得は自宅の相続や空き家にも影響が出る?!

注意が必要となるのは「住宅借入金等特別控除」、「配偶者(特別)控除」、「扶養控除」、「基礎控除」などの控除です。これらは譲渡所得を特別控除前の額で判断する事となる為、譲渡益がある年は、控除対象外となる可能性があります。勿論、マイホームに限らず、実家の空き家を売却するなどして不動産売却益を得ることもありえます。もし、両親が他界し、不動産の「取得費」が分からないようなケースだと「取得費」が不明なケースとなり、売却額の5%相当額を取得費として計算する為、売却価格が大きいと所得が大きくなるケースとなります。

 

いずれにせよ、不動産の売却をする際には、売却後の各種手当の状況も視野に入れて対策を考える必要があります。

 

 

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